「泣けない人(不思議な入金編)その3」
銀行口座への入金は「カ)サトウシステム」からの給与以外には無くて、月毎の収支はマイナスで、数カ月後には口座残金が「ゼロ」になりそうな感じである。
別途、預貯金があれば良いのだが・・・。
月に一度、給与の半額位である十数万円のまとまった出金記録があった。
「騙された!」と言える位の金額ではあるが、定期的な出金であり、給与直後の月末のタイミングであることから、家賃や光熱費の支払いのための出金であると考えると妥当な金額だと思われる。
そのため、この通帳には「安西さん」に関係するお金の情報は無いと予想される。
一通り、見終えると、もう一度、通帳を見せて貰えないかもしれないので、念のために、
「写真撮って良い?」
と尋ねることにした。 守叔父さんは、
「ドウゾ。」
と快諾してくれたので、通帳を撮影する事にした。
撮影し終え通帳を返すと、守叔父さんはすぐさま通帳をキャビネットに戻し、キャビネットの鍵をしっかりと締めた。
鍵をキチンと締めるってことは、通帳だけでなく他にも大事なものが入っているのかもしれないな・・・。
キャビネットの開閉は短く、中身は良く見えなかったが、通帳以外の物も入っているようだった。
詐欺被害の有無をハッキリするには、今後、またこのキャビネットの中を見せてもらわなければならないと考えた。
見せてもらった通帳は、守叔父さん個人名義のものであったので、会社名義の物も別途あるかもしれない。
可能性は低いと思うが、「カ)サトウシステム」という会社そのものが守叔父さんの会社である、または、以前経営していた会社の可能性もあり、現状ではその可能性を否定できない。
まずは、守叔父さんに聞いてみることにした。
「サトウシステムって、何処にあるの?
ココから近いの?」
すると、守叔父さんは、
「ダメ、アンタダメ。
サトウサン ワルイ。
チカヅク、ダメ!」
(だめ、貴方ダメ、
サトウさん、悪い。
近づく、ダメ!)
と言った。
「何がダメなの?
叔父さんが、
どんな所で働いているのか
知りたいだけだよ。
教えてよ。」
と伝えるものの、
「ダメダメ、
サトウサン、ワルイ。
アンタ、ダマサレル。
アブナイ。」
(ダメダメ、
サトウさん、悪い。
貴方、騙される。
危ない。)
と言った。
給料を受け取っている会社に近づく事を拒否するのはなぜだろう・・・?
良からぬ事業をやっている会社なのだろうか・・・?
守叔父さんから聞き出せなくとも、社名だけは分かったので調べることができるだろう!
(つづく)