7、Mission.1 下準備(1) 情報収集5
ショートメッセージへのリアクションもなく、直接電話しても出ない。
ますます、トラブルの予感が高まってきた。
もう一度、電話を掛けるか、掛けないか悩んでいる間に、散歩道は下り坂の山道から平坦な道となり、視界も開けていた。
右手に桜島、左手に霧島連峰が見えるところに出ていた。
民家の筋へ入り込み、散歩の中間点を過ぎた頃、電話が震え、着信音がなり始めた。
守叔父さんからの着信であった。
歩いている足を止め、落ち着いて電話に出る事にした。
着信ボタンを押し、自分の方から、声を掛けた。
「もしもし、・・・。」
ゴソゴソ音がするものの返答が無い。
向こうから掛けて来ているのに・・・、なぜだろう。
ほんの少しだけ間を置いた後、こちらから再度、声を掛けた。
「守叔父さん、柑太郎です。
ご無沙汰しております。
お元気ですか?」
今度は、返答があった。
「ア・ア!」
との一言だけ。
チョッと、変だな…。
続けて、
「元気ですか?」
と、問いかけた。
「ゲ・ン・キ!」
との、たった一言。
あまり力の入っていない言葉が戻ってきた。
感嘆符!を付ける必要はないかもしれない程の声であった。
続けて、
「叔父さん所に、
久しぶりに遊びに行きたいんだけど、
都合いかがですか?
仕事、忙しいですか?」
と伝えると、
「イ・マ、シ・ゴ・ト、チュウ、
・
ア・イ・テ、
・
デ・キ・ナ・イ、
・
・
・
オ、カ、ネ、ナ、イ・・・。」
たどたどしい感じで、都合が悪そうな感じの返答が帰ってきた。
守叔父さん側からの着信であったため、心の余裕があまりない状況での、思わぬ力のない声に、自分も話を長引かせて、状況把握するための気力も萎えてしまっていた。
遊びに行って良い?との問いに、来て欲しくない様子の返答が戻ってきたこととなる。
家に行くわけじゃなくて、東京へ遊びに行くついでに寄ろうと思っているんだよと言ってみたものの、その反応は、良いものではなかった。
会話も続かず、10分弱で電話を切る事となった。
2022/11/23 9:15 通話時間 7:54
(つづく)