2022年6月29日水曜日

「泣けない人」その20

20 、上京初日


飛行機のチケットを買うまでは、10数年ぶりの飛行機搭乗や、東京旅行に不安があった。いくつかの具体的な不安もあったが、それらのほとんどは、漠然としたものであった。

実際に、飛行機のチケットを購入したことにより、心の踏ん切りができ、不安が解消され、前向きになることができた。

ワンアクションで、精神的にも、一歩前に進むことができたことになる。

出発までの三日間の時間で、荷物を準備した。守叔父さんの事を考えると、手が止まってしまうので、なるべく、守叔父さんの事を考えずに、荷物のパッキングをした。


航空会社のホームページを見ると、安全対策のため、荷物検査も色々と変化し、以前はなかった様なルールが増えているように感じた。

・機内に持ち込めるもの、持ち込めないもの。
・お預け荷物として、預けられるもの、預けられないもの。

それぞれの種類が多くなり、複雑になっている。

以前は、機内に持ち込めないものを、お預け荷物に入れようと考えていたが、その逆がありうる。

一例として、モバイルバッテリーは、機内持ち込みはできるが、預けることはできない。
リチウム電池の発火問題に起因していると思うが、以前の様に考えて荷造りすると、後で荷物をほじくり返さなければならなくなる。
 





 


11月29日、東京への出発当日。

15時35分鹿児島空港発の飛行機に搭乗。

LCC格安航空機に初めて搭乗!

以前、飛行機に乗るときの楽しみの一つが、機内放送であった。

城達也の美声を聞きながらリラックスして、ボーっとする。

着陸間際には、機外の映像が流れ、滑走路のランプ光を楽しんでいたが、LCCには何もない・・・。

機内のTVもなければ、音楽も聞くことができない。

コストを下げる工夫として、サービスをカットする!って事だ。

音楽にしろ、映像にしろ、スマホ+イヤホンがあれば、不要なものなんだな・・・。と改めて考えさせられた。

機内誌さえもなく、安全のしおりが一枚、前席のポケットに差し込まれているだけ・・・。

チョッと寂しく感じた。

窓際の席ならば、外を見ることができただろうが、残念ながら通路側の席。

機内での約二時間、退屈な時間を過ごす事となった。
 




日没直後、黄昏時の到着。

機外映像が見ることができれば、羽田空港の滑走路の綺麗なランプが見れただろうな・・・。と思いながらの着陸時の衝撃とブレーキ。

ひと時の空の旅から現実へ引き戻された。

LCCは、空港内で、一旦、バスに乗り換えて、空港ビルへ移動すると思っていたが、ボーディングブリッジに直結!

ラッキーなのか?それとも、流行り病によって便数が減っている分で直結できるのか・・・?

ともかく、空港ビルへと歩み始めた。

久しぶりの羽田空港!!!

さすがにデカい。動く歩道をノンビリ歩きながら手荷物受取所へ向かう。

途中、お手洗いに立ち寄り、気持ちをリセットし、荷物を受け取った。

その後、京急に乗り、宿の最寄り駅で降り、地下ホームから地上の改札を出た時は、だいぶ暗くなっていた。

キャリーケースのゴロゴロ音と共に、宿への移動。

ワンブロック程歩いた後、スマホで現在地を確認し、間違いなく宿に向かって歩いていることを確認。
都会の人々の歩く速さは、だいぶ早い!と久しぶりに感じた。

マスクの必要なご時世、歩行者のスピードに合わせて歩くと、息苦しさを感じる。

(つづく)
 

2022年6月22日水曜日

「泣けない人」その19




19 、Mission.1 下準備(3) 宿泊先の手配と飛行機のチケット購入4


航空券をコンビニで購入したのは11月26日であった。

出発日は3日後の11月29日。

上京当日から、行き当たりばったりで、守叔父さんの家の周辺を歩き回るのも効率が悪い。

予行演習として、守叔父さんのアパート周辺をより詳しく調べることとした。

まず、Google Mapに守叔父さんの住所を入力し、それからストリートビューへと切り替えた。

守叔父さんの住居は、外観を見ると、三階建ての鉄筋コンクリート造りの低層マンションであった。レンガ色のタイル壁の建物である。

一見しただけでは、特に気になる様な不信感を抱く様な建物でなく、普通の建物である。
袋小路の一番奥にあるような建物でもなく、ほぼ東西に伸びた一方通行の道路の北側に位置し、建物の南側に駐車場があり、閉鎖性のほとんどないものであった。

犯罪性があり、人を監禁できるような建物ではないと思われる。

道路から建物全体が確認でき、日当たりも良さそうな物件であった。

各フロアともベランダがある。ベランダの境壁の位置は、南に面する2部屋毎にあるように見えるため、間取りは2Kまたは2DKであろうと推測される。ワンフロアが五世帯の建物である事が分かった。一人暮らしには十分な広さがあるだろう。

建物のエントランスは西端にあり、エントランスのすぐ横が階段となっている。
守叔父さんの部屋は、一階。玄関ドアの前を通らずに、二階、三階へ行くことができるため、廊下の様子を調べるには、二階か三階を見ることになるだろう。

守叔父さんの部屋の窓ガラスの内側は、遮光カーテンがかかっているようで、中は見えなかった。

隣部屋も同様にカーテンがかかっていて、中は見えなかった。

グーグルストリートビューの写真がいつ撮影されたものなのかわからないが、撮影された時には空室が無いように見えた。

360度見渡してみるとみると、同じ位の高さのアパートらしき建物が建っており、割と閑静な住宅地のように見受けられる。

地図上では、海岸から200m程しか離れていないので、羽田空港の北端が見えそうな場所である。望遠レンズを持って、周辺を歩いていても飛行機を撮影する為の機材と思って貰えると考える。

ストリートビューで、近くの通りをグルグルと回ってみると、100mも離れていないところに、お手洗いのある公園を見つけた。

歩いて数分圏内にローソン、セブンイレブン、ファミリーマートがそれぞれある。
さすが都会!

もしも、長時間の「張り込み?」が必要な場合であっても問題なさそうである。



次に、宿泊先から守叔父さんの家までの道順を覚えることにした。

グーグルマップのルート検索で調べると、最短ルートは1.3km。

また、たった2か所の交差点を曲がるだけで良いことが分かった。

それぞれの交差点には、大きな病院があり、目印としては申し分ないものである。

後で知ることになるが、この目印として覚えた病院の一つへ、守叔父さんを連れていくこととなる。

(つづく)
 

2022年6月15日水曜日

「泣けない人」その18

18 、Mission.1 下準備(3) 宿泊先の手配と飛行機のチケット購入3


宿泊先の手配完了。そして、飛行機のチケットも購入した。

「探偵の七つ道具」の注文を行い、配送先を宿泊先とした。

残る作業は、荷物の準備。着替えや身の回りで必要なものをパッキングする事となった。

七つ道具の一つである一眼レフカメラと望遠レンズを荷物に詰めながら、ふと、守叔父さんと会う理由を考え始めた。

ここでの「会う理由」とは、豊治叔父さんに依頼されたからとか、認知症の確認とか、守叔父さんの現状を知る為という理由ではない。

私の上京目的が、守叔父さんに会うことでなく、別に目的があり、ついでに守叔父さんに会いに行くという理由があった方が、守叔父さんに不信感を持たれずに私と会って貰えるだろうと考えたからだ。先日、守叔父さんへ電話した際に、断られた事が気になっていたからだ。

と言う事で、私の上京目的を別途考える必要がある。

一眼レフカメラの本体もそれなりの重さがあるが、望遠レンズを付けるとかなり重くなる。このカメラを持っていく理由が、探偵の七つ道具以外にあれば、より良いと考える。


カメラをジッと見ながら、素直が一番と考え、私は何のために、望遠レンズを持っているのか? 自問自答した。

答えは、「飛行機を撮影するため。」である。

それならば、飛行機を撮影する事を目的にすれば良いだろうと考えた。

守叔父さんの家は、大田区。

羽田空港も大田区!!!

趣味として、飛行機を撮影するために上京。
ノンビリ飛行機を撮影しながら、守叔父さんの家が近いから、立ち寄ってみる事にする。守叔父さんが仕事で忙しいようならば、飛行機撮影に集中できるかもしれない。

また、守叔父さんの都合によっては、飛行機の撮影ポイントを紹介して貰うことができるかもしれない。

と言う事で、豊治叔父さんとの話で、難しく考え過ぎていたことを反省しつつ、趣味・遊びをメインとして、上京する事とした。

正直なところ、不安がたくさんあるが、趣味・遊びと思えば、その不安が少し軽くなるような気がした。

せっかく、飛行機撮影に行くならば、チョットでも良い条件で飛行機の写真を撮影したい。羽田空港の周辺のおすすめ撮影スポットをネットで検索する事とした。

CAPA CAMERA WEB の特集記事として、

【保存版】「羽田空港」周辺のおすすめ飛行機撮影スポット7選! 都心を羽ばたく飛行機をいろんな角度から撮ろう!

という情報が見つかった。

「スポット7選!」

「ドラゴンボール」では、ドラゴンボールを7個集めると願いが叶う!

では、撮影スポットを7箇所制覇する事を目標としよう!と考えた。

1.羽田空港 国際線ターミナルビル展望デッキ
2.羽田空港 第1旅客ターミナルビル展望デッキ
3.羽田空港 第2旅客ターミナルビル展望デッキ
4.浮島町公園
5.京浜島つばさ公園
6.城南島海浜公園
7.東京ゲートブリッジ

さて、何ヶ所で飛行機が撮影できるか?
楽しみだ。

(つづく)
 

2022年6月8日水曜日

「泣けない人」その17


17、Mission.1 下準備(3) 宿泊先の手配と飛行機のチケット購入2


飛行機のチケットを買う!にあたって、航空業界のシステムが色々と変わったのだな・・・。と、つくづく実感した。

飛行機に乗るのは、十数年ぶりの事となる。最後に乗ったのは、LCC(ローコストキャリア)という言葉が耳に馴染む前の頃だと思う。

以前、関東で仕事をしていた頃は、年に何度も乗っていたが、鹿児島に戻って以来、飛行機に乗ることからは遠ざかっていた。

LCCという言葉が浸透するとともに、鹿児島空港にもLCCが飛来する様になった。現在、羽田便に、4社が参入している。全日空、日本航空、ソラシドエア、スカイマークである。
また、成田空港便にはジェットスターも参入している。

今回の旅は、時間に追われるものではないので、LCCを使ってみようと考えた。
全日空、日本航空と、どの様に違っているのかを知りたいという欲求があり、そして、少しでも交通費を安く抑えようとの考えが合致した。

格安チケットというキーワードとともに、ネット検索をすると、鹿児島ー羽田間のチケット代の様々な金額が出てきた。
出発日を変更すると、次々と金額が変わり、7千円台から3万円超の間で色々な値段が出てきた。

往復でも2万円を切ることになる。十数年前の片道料金よりも安いのには驚いた。

とは言え、一定の条件がある。搭乗日よりだいぶ早くチケットを購入しなければならない。

基本的には、当日便から5日後位まで急激に安くなり、その後、2週間先位まで徐々に安くなる。2週間以上先は、ほぼ一定の金額となる。また、平日の方が、土日祝より安い事が分かった。

東京の滞在期間は、2週間と考えているので、復路は最低金額となる。週末を避ければ良い。そのため、鹿児島出発日を2週間以上遅らす事によって、最も安いチケットが買える事となる。

2週間後を設定すれば往復2万円を切る事となるが、守叔父さんの事を考えると、少しでも早く上京して、様子を確認したいとも考える。

平日の移動として、滞在2週間と考え、かつ、週末は病院や公的機関が休みとなる事を考えて、月曜日出発の翌週の金曜日に戻る11泊12日と設定する。
 


2021年11月29日(月)~12月10日(金)
 

または、
 

12月6日(月)~12月17日(金)
 


のどちらかを選択する事にし、金額を調べてみた。

その差は、数千円の範囲であったため、若干高くなるが、11月29日発 12月10日戻のソラシドエアを予約した。それでも、往復分で2万円台で購入できる。

ちなみに、現在、全日空、日本航空の普通席の正規運賃は、片道で4万円台後半。往復で、10万円近くになる。
LCCのおかげで、時間に余裕があれば、だいぶ安く乗れる様になったことが分かった。

また、購入および決済の方法であるが、今回はコンビニ決済という方法を選択した。
以前無かったシステムを色々と試してみようと思い、ローソンのLoppiを使った支払いを行うことにした。

以前は、クレジットカードを持っていたが、仕事を辞め、現在は所有していないため、現金決済に頼るしかないのである。ト・ホ・ホ・・・。

予約後、数日内にチケット購入をしなければ、自動的に解約となる。
その数日の間に、宿を決めれば良い。

クレジットカードがなければ、予約できない宿もある。AirBnbで見つけた宿のうち、独自のホームページのある宿を見つけ、詳細を調べると、チェックインの当日に現金払いできる宿を見つけた。その宿へ電話連絡し、飛行機の日程に合わせて部屋が空いていることを確認し、予約した。

また、「探偵の7つ道具」の送付先として、フロントで小荷物を受け取って貰えることの確認も忘れずに行った。

宿の予約手配が済んだ後に、ローソンへ!

Loppiも、ソラシドエアのウェブに掲載された手順通り、画面を操作すれば、特に問題は無かった。

Loppiの機械からレシートの様な紙が印刷され、その紙をレジへ持っていけば支払いが完了し、QRコードの付いたチケットを受け取る事になった。

てっきり、Loppiの機械に直接お金を入れるのかな・・・?と思っていた私にとって、コンビニのシステムは、本当に良くできているな・・・!と関心した。

(つづく)
 

2022年6月1日水曜日

「泣けない人」その16


16、Mission.1 下準備(3) 宿泊先の手配と飛行機のチケット購入1


「探偵の7つ道具」はネット通販で見つけることができた。様々な種類の物があり、使用感の良さそうな物を選んで購入する事とし、その届け先を決めなければならないと考えた。

通常ならば、ネット通販などの商品は自宅宛に届くように注文する。今回は、「探偵の7つ道具」を使用するのは東京である。

見た目はチョッと太めのボールペン。しかし、それらはボイスレコーダーであり、小型カメラである。ペンタイプの小型カメラが、盗撮目的などと勘違いされると困るし、飛行機の手荷物検査をパスできないのではないかと心配し、飛行機に持ち込まずに済む方法を考えた。

直接、宿泊先へ送ることによって、飛行機の荷物検査を通す必要が無くなると考えた次第。
このことにより、「探偵の7つ道具」を発注する前に、宿泊先を決めることが必要となった。



ホテルや民宿、旅館などをはじめ、宿泊施設には色々な種類があり、旅行好きの人ならば、宿泊先を選ぶ事も、旅の一部かもしれない。

旅の目的によって、選ばれる宿も変わってくるし、枕が変わると寝られない等と言う事もあり、寝具の良し悪しも大事な選択肢となる。

今の時代、ネット上に色々な情報があふれ、宿泊施設の情報も同じようにあふれている。

旅行代理店のホームページから探すのもよし、ホテル等に特化して情報を提供しているホームページもある。「おすすめの宿」と言うキーワードで探してみたり、色々と探すことによって自分に合った宿を見つける事ができる。

今回は、めぐみ叔母さんに教えて貰ったAirBnb(エアービアンドビー)を取っ掛かりとして、宿探しを始める事とした。

AirBnbは、別荘やコンドミニアムをレンタルするためのサイトで、長期滞在型の宿泊施設を探すには都合が良いようだ。

ロケーション(目的地)を入力、適当に宿泊予定のチェックイン、チェックアウト月日を入力し、宿泊人数を入力する。

すると、おすすめの部屋の写真や宿泊金額と共に、その所在地を示す地図が表示される。
地図上には、複数の金額のタグが並んで表示されており、それぞれのタグをクリックすると、それぞれの部屋の写真が表示される。部屋の写真をクリックするとその部屋の宿泊条件の詳細が表示され、予約ができる。

守叔父さんの住所を入力し、近くの宿を探した。直線距離で1km程度離れている所に3件程見つかった。

予約するためには、日程を決めなければならない。また、同時に飛行機のチケットの手配も必要となる。

守叔父さんの様子を伺うために、一体、どの位の日程が必要なのだろうか・・・?

豊治叔父さんには、すぐには守叔父さんの家を訪問せず、家の周辺の様子を調べて、安全を確認した後に会うことを指示されている。

もし、認知症の兆候がハッキリすれば、病院へ連れていく事が必要となる。

家の周辺を調べ、その後、守叔父さんと実際に会って、認知症かどうかを判断するのに1週間位の日数が必要だろう。そして、病院へ連れていく為に更に1週間が必要として、計2週間の宿および往復の飛行機の予約を入れる事とした。

(つづく)