2023年3月29日水曜日

「泣けない人」その57

 


57 、上京二日目.31


午後5時半には熟睡していた守叔父さん!!!

あまりにも早い就寝には、さすがに驚いた。 

そして、就寝時刻が異常に早いことは、大切な情報だと考えた。そのため、守叔父さんの家から宿に戻る途中、歩きながら八王子の豊治叔父さんへ電話を掛け報告する事にした。

守叔父さんの状況を伝えると、豊治叔父さんから、

 

「なぜ、そんなに早く寝るんだろう・・・?」



と、不思議そうなニュアンスの返事が戻ってきた。 「僕が、守叔父さんの家を訪問した昨日の夕方、夜には、既に守叔父さんは寝ていたのかもしれない! そして、今朝は、すでに外出していたのかもしれない。」 と伝えた。すると、豊治叔父さんは、

 

「そうかもしれないな・・・、報告ありがとう。 
今、夕飯の準備中で手が放せない!
じゃ、またあとで。」



という事で、短い電話となった。

電話を切ったあと、守叔父さんが床に就いたのは何時だったのだろう・・・?  そして、起床は何時なのだろう・・・? と、守叔父さんの生活リズムを推測しながら、宿に戻ることになった。

 





午後5時に床に就き、睡眠8時間とすると、起床は午前1時となる。

仕事の開始時刻は、午前3時頃かもしれない。

勤務時間を8時間と考えると、午前11時の終業となる。つまり、午前中で仕事を終えることになる。

守叔父さんは、仕事を少しだけ早退したような事を言っていたので、守叔父さんの言っていることは、辻褄が合っているようだ。

守叔父さんは、時間指定の荷物を運ぶ仕事に就いており、その荷物は早朝の配送ってことなのだろう。

勤務の時間が丑三つ時から始まるってことで、早朝勤務であり週4日の勤務でも良いのだろう。

 





限られた情報をもとに、適当に推測し、そして、守叔父さんの言動と辻褄が合っているだけで、すこし安堵した。

とは言え、まだまだ、守叔父さんが軟禁されていないという事は、証明されてはいないが・・・。

 





宿にもどり、ゆっくりシャワーを浴びた。

 昨晩のシャワーでは単に汗を洗い流すだけの行為であったが、今日は、一仕事終えたって感じで、リラックスして温かいシャワーを浴びる事ができた。

 





守叔父さんと次に会うのは、日曜日の予定である。

それまでの時間をどの様に過ごそうか?

明日から土曜日の間に、八王子を訪問し、本日の報告をしようかな・・・。

簡単な報告と共に、豊治叔父さんの都合を聞こうと考え、ショートメッセージを送信した。

 

「ホテルでシャワー浴びて、一段落し
ました。 昨晩、今朝にわたる三度
の訪問で人の気配がなかったのです
が、夜はすでに寝ていて、朝は不在
だったということですね。ちょっ
と、ホットしました。 豊治叔父さ
まのお宅にも伺えればと思っていま
す。ご都合はいかがでしょうか?」
2021/11/30 18:27



豊治叔父さんからの返事は、

 

「ひょっとしたら仕事をしているかも
と考えて早寝早起きを思い出して君
にメッセージを送りました。良い方
に当たってホッとしました。めぐみ
叔母さんにも電話する時間を考える
ように言って置いて下さい。」
2021/11/30 18:33



であった。私は、

 

「承知しました(^_^)/ 守叔父さまは、
3時~5時位に起床、出社と言うこ
とですね。 明日、私の起床時間次
第で、守叔父さまの自宅へ、散歩の
呈で、伺えればと思います(^_^)/」
2021/11/30 18:40



と返事した。すぐに、豊治叔父さんから返事がきた。

 

「了解です。宜しくお願いします。」
2021/11/30 18:41


(つづく)
 

2023年3月23日木曜日

「泣けない人」その56

 


56 、上京二日目.30


守叔父さんの家へ向かう第四陣。 

午後5時を少し過ぎたタイミングで、宿を出発した。 昨日の初陣出発よりは、一時間半ほど早い時刻である。

日の入り後、30分ほど経っていたが、まだまだ明るく薄明の空であった。 

大通りを走るクルマは、チラホラとヘッドライトを点けはじめていた。

守叔父さんの家へと向かう道は、既に見知らぬ道から通い慣れた既知の道へとなりつつあった。 そのため、昨日の初陣、第二陣、今朝の第三陣とは異なり、その道程はリラックスした状態で歩くことができた。

20分ほど経ち、守叔父さんの家に着くころには、「秋の日はつるべ落とし」のごとく、だいぶ暗くなっていた。 周囲を走るクルマのヘッドライトは、ほとんど点いていた。

 





守叔父さんの家の駐車場には、守叔父さんのクルマが今朝と同じ場所、そして、今朝と ”同じ状態” で駐車されていた。 つまり、サンシェードがフロントガラスに設置されていたのである。 

守叔父さんが、このクルマで宿の前に迎えに来てくれるまでは、このクルマが夏場から放置されているものかもしれない!と勘違いしていた。

守叔父さんの車が、年式は古くとも車内が良い状態だったのは、日々、サンシェードを設置し、紫外線対策をしているからだと納得した。

守叔父さんにとって、サンシェードは夏場だけのものではなかったのである。クルマを大事にするための一つの習慣であったのだ。

クルマの状況を確認したおかげで、一つの疑問が解決した。

 





そして、守叔父さんの部屋の様子を見ると、窓の内側の遮光カーテンは、駐車場側の二部屋とも、キッチリと閉まっていた。

それぞれのカーテンの隙間からは室内の光が見えなかったので、室内の灯りは消えているようだった。

午後5時半に室内の灯りが消えているってことは、守叔父さんは外出中で不在ってことだろう。

なんらかの用事があるようだったので、私と別れた後、駐車場にクルマをとめ、その後、徒歩で外出したのだろうと思った。

守叔父さんは、どこに行っているのだろうか・・・? 

徒歩で出掛けているならば、近い場所だろうか?

用事が終わった後に、夕食を一緒に食べることもできるかもしれないし・・・。 

 





とりあえず、守叔父さんへ電話を掛けることにした。

電話の呼び出し音が何度か繰り返されたが、守叔父さんは、なかなか電話に出てくれなかった。

あきらめて、終話ボタンを押そうと思ったタイミングで、電話が繋がった。

 

「モ、 シ、 モ、 シ、・・・。」



と、間の伸びた声が聞こえてきた。「もしもし、柑太郎です。 今日はありがとう。」と伝えた。すると、守叔父さんから、

 

「ネ・テ・タ。」
(寝てた)



との返事が返ってきた。 思わず「えっ?」って心の声が、口から出てしまった。午後5時半に寝ていたようだ。 守叔父さんから、

 

「ドウシタノ?」
(どうしたの?)



と聞かれたので、「めぐみ叔母さんに聞いたら、ホテルから叔父さん家までは、近いってことが分かったので、散歩のついでに来たんだけど・・・。」と伝えた。

 

「エッ? ドコニイルノ?」
(えっ? どこにいるの?)



と聞かれたので、「家の前にいるよ!、叔父さんのベンツの目の前にいるよ!」と伝えた。

 

「チョット、マッテ!」
(ちょっと、待って!)



との言葉の後、少し待つと、遮光カーテンの隙間から室内の灯りが点くのがわかった。そして、遮光カーテンが開き、続いて窓が開いた。

守叔父さんが、パジャマ姿で頭を搔きながら、ベランダに出てきた。そして、

 

「ドウシタノ? 」
(どうしたの?)



と改めて聞いてきたので、 「散歩!、歩いて来たの! まさか、寝ているとは思わなかった。 寝てるところ、起こしてごめんなさい。」と伝えた。すると、

 

「ドウスル?」
(どうする?)



と聞いてきたので、「どうもしなくて良いよ!、おやすみなさい。 今度、日曜日ね!」と伝え、宿に帰ることにした。

守叔父さんの家を後にしつつ、昨日の初陣、第二陣の時には、既に守叔父さんは寝ていたのかもしれない! と考えた。

(つづく)

 

2023年3月15日水曜日

「泣けない人」その55

 


55 、上京二日目.29


LINEトークのテキストメッセージのやり取りによって、めぐみ叔母さんとの会話がしばらく続いた。

音声による会話と異なり、メッセージを打ち込むのに時間を要するため、送信側、受信側のそれぞれに時間が掛かり、ゆっくりしたターンでの会話が進んでいった。

メッセージのやり取りは、1時間ほど続いた。

そのゆっくりした時間のおかげで、守叔父さんの事をじっくりと振り返ることができ、頭の中を整理することができた。

 



 



守叔父さんの現状をリストアップすると、次のようになる。

#1 見た目は、以前とあまり変わらず、特に痩せたり、太ったりしていない。
実年齢よりすごく若くみえる。

#2 仕事は、火曜〜金曜の4日間。
土日月は休み、月曜はカイロプラクティックに通っている。

#3 クルマを上手に運転する。クルマには目立った傷などはない。

#4 私と守叔父さんとの関係(叔父と甥の関係)や、私の家族構成(兄弟姉妹の数など)を正しく理解している。

#5 会話によるコミュニケーションが不自由だと思われる。理由としては、限られた人の名前以外は出てこない。 私の事を「柑太郎」と呼ばない。

#6 クルマの車種名(ベンツ)や、地名(鹿児島、羽田、東京)など、固有名詞が会話に出てこない。代わりに、「外車、あっち、こっち、ずっと向こう、ずっと遠く」などの言葉とともに手によるジェスチャーによって意思を伝える。

#7 守叔父さん本人は、会話によるコミュニケーションが不自由だと言う自覚がなく、そのことを心配してなさそうである。

#8 金銭的トラブルがあるかもしれない。

 





めぐみ叔母さんから届いたメッセージには、

「出来るだけ何回も会うようにして下さいね。」

「そう、出来るだけ答えはあげないで色々聞いてみると良いかも。」

「アンチエイジング使い過ぎで脳が子供になってしまった。。。とか? 😨」

などがあった。

豊治叔父さんからの指示と同じように、私が守叔父さんと何度も会って、状況を把握するように依頼された。 

「アンチエイジングで、子供になる!」とは、面白い発想だな・・・。と少し笑ってしまった。 プラセンタの注射で、若返り、脳も若返ったのかな・・・。

そして、送信したメッセージに関して、うまく伝わっているかどうかを確認するために、めぐみ叔母さんへ音声通話を掛けた。 

めぐみ叔母さんは、呼び出し音を少し聞いただけで、すぐに電話に出てくれた。

私のテキストメッセージは、それなりにうまく伝わっているようではあったが、細かいニュアンスは端折っているので、それぞれの項目についての詳細を伝えることにした。

中でも、守叔父さんのクルマの運転の上手さや、クルマ本体には目立った傷などが無かったことなどを伝えると、めぐみ叔母さんにとっては、予想外であったようだった。 

まともな会話のできない人が、クルマの運転ができる訳がない!と思ったのだろう。 私も、守叔父さんが颯爽とベンツで現れた時には自分の目を疑ったしな・・・。 

自分の目で見なければ、信じがたい状況かもしれない。

 





守叔父さんの様子に関しての話だけでなく、私の泊っている宿の所在地や周辺の様子、宿のシステムなどの話をしていると、いつの間にか音声通話が1時間ほど経過していた。

電話を切った時には、午後5時になっていた。

豊治叔父さんとのテキストメッセージのやり取りが1時間、めぐみ叔母さんとのメッセージのやりとりおよび音声通話は2時間、計3時間におよんでいた。

宿に戻った直後は、目の前にあるベッドへ飛び込み、休憩したいと思ったけれど、この3時間の間にだいぶ疲労感が薄らいでいた。

次に守叔父さんに会う予定の日曜日までは、時間・日数があるため、その間は守叔父さんの家の周辺を調べることになるだろう。盗聴電波の有無等も調べなければならないな・・・。 

今日できることが無いかな・・・?と考えた。

もう一度、守叔父さんの家を訪問すれば、もう少し分かることがあるかもしれない。

もしも、部屋のカーテンが開いていれば部屋内の様子が、少しでも分かるかもしれないし・・・。 守叔父さん以外の人影がなければ、ピンポンしても良いしな・・・。

駐車場にクルマがとまっている場合、フロントガラスにサンシェードが設置されているかどうかも気になるところだ。

(つづく)

2023年3月8日水曜日

「泣けない人」その54

 


54 、上京二日目.28


本日、守叔父さんと一緒に行動した時間は、わずか3時間程度であった。

短い時間ではあったものの、その間での疲労は思ったより大きかった。

宿の部屋に入ってからの最初の欲求は、目の前にあるベッドへ飛び込み、休憩することであった。

しかし、休憩の前に、豊治叔父さんや、めぐみ叔母さんへの連絡を先にしなければ、心配するだろうと思い、それぞれへ連絡を入れることにした。

まず、豊治叔父さんへ、ショートメッセージを送信した。

 

「守叔父さまと食事し、その後、私の
リクエストで、飛行機の良く見える
公園へ行きました。先程、別れまし
た。 車で、宿まで迎えにきてくれ
ました。昨日、今朝、守叔父さまの
家の前で見たシルバーのベンツで颯
爽と現れました。運転は特に問題な
く、普通の運転してました。 日曜
日に時間を作ってくれるとの事で
す。」
2021/11/30 13:58



一番重要な情報である「守叔父さんの意味不明な言動」については、ここでは、あえて触れなかった。

なぜなら、それらの言葉をショートメッセージでは、うまく伝えることができないし、かつ、今日の時点では、意味不明な言動であっても、今後、理解できるものなのかもしれないと考えたからだ。

つまり、現時点では、私自身は、守叔父さんが ”変” であるという事を確信できていないのである。と言うか、 ”変” であることを認めたくない自分がそこには居た。

メッセージを送信して、5分ほど待つと、豊治叔父さんからの返事が届いた。

 

「本当は、一緒に生活して様子見する
のが良いと思いますが、何回も会っ
て聞き忘れた事を質したりして本質
を見極めて下さい。」
2021/11/30 14:05



現時点では、守叔父さんが自宅軟禁されていないという確信もなく、盗聴器の有無の問題が解決した訳でもない。 守叔父さんの家の中に入ったことすらもまだ無い状況で、「一緒に生活して」とは、だいぶ先の事を言っているな・・・。

わずか、3時間一緒にいただけで、疲労困憊なのに・・・。「一緒に生活することになったら大変だろうな・・・。」、と考えながら、メッセージを送信した。

 

「承知しました。(^_^)/」
2021/11/30 14:13



返事を送信した後、しばらく待ったが、豊治叔父さんからのメッセージが送られてこないので、豊治叔父さんへの報告を終えたと考えた。

続いて、めぐみ叔母さんへメッセージを送ることにした。豊治叔父さんへ送信したものをコピペ(Copy& Paste)したものをLINEで送信した。

 

「守叔父さまと食事し、その後、私の
リクエストで、飛行機の良く見える
公園へ行きました。先程、別れまし
た。 車で、宿まで迎えにきてくれ
ました。昨日、今朝、守叔父さまの
家の前で見たシルバーのベンツで颯
爽と現れました。運転は特に問題な
く、普通の運転してました。 日曜
日に時間を作ってくれるとの事で
す。」
2021/11/30 14:35



米国との時差の事を考慮して、

 

「昼食です(^_^)/」
2021/11/30 14:35 



との情報を追記して送信した。 

めぐみ叔母さんは、守叔父さんとの以前の会話によって、その会話が変であることを理解していたので、少しだけ情報を加えてメッセージを再送信した。

 

「若干、人の名前が出てこないなどの
状況ではありますが。。。」
2021/11/30 14:37



めぐみ叔母さんからのリアクションを待っていると、豊治叔父さんからのメッセージが届いた。

 

「しかし、何かが普通で無い時がある
とすると、その原因は何なのか?プ
ラセンタ注射との関連は無いのか?
又、年金や健康保険証は有るの
か?、借金の有無等をじっくりと聞
いて下さい。」
2021/11/30 14:39



豊治叔父さんからのメッセージを見ながら、次の事を考えた。

年金の状況や、健康保険証の有無は、守叔父さん本人から聞き出すことができなくても、それぞれの関連の役所に相談すれば教えてもらえる可能性はある。

しかし、「守叔父さんの意味不明な言動」と、守叔父さんが受けているらしい「プラセンタ注射」との関連の有無を調べる方法があるのだろうか・・・? 

もし、関連があるならば、プラセンタの注射には問題があるだろう。

守叔父さん本人に、注射によってのなんらかの異常に関する自覚症状があれば、おのずと注射することはやめるだろう。それらの自覚症状がなければ、守叔父さん本人に聞いても関連は分からないだろう。

医者や医学に携わる研究者ならば、その関連の有無を調べられる可能性もあるだろうが、それは、ある種の薬害の認定をするようなものとなる。 そのため、そのハードルは非常に高く、困難だろう。

豊治叔父さんは、難しい事柄を簡単にリクエストするな・・・。と思ったところに、めぐみ叔母さんからのメッセージが届いた。

 

「へえ、未だ運転できるんだ。。。🤔 
柑さんや家族の事を覚えていましたか? 
健康状態はどんな具合?」
2021/11/30 14:51



めぐみ叔母さんは、守叔父さんが運転できることが不思議なようだ。

私自身が守叔父さんに感じている違和感と同じものなのだろう。 

なぜ、言葉の不自由な人が、クルマの運転を器用にするのか???

(つづく)
 

2023年3月1日水曜日

「泣けない人」その53


53 、上京二日目.27


私の伝えた「トラックだらけだ!」をきっかけに、守叔父さんは、本人がなんらかのトラブルに巻き込まれているような話をしているが、守叔父さんの説明では、イマイチ、内容がよくわからない。

分かった事として、「騙しとられたお金は二百万円超であること。騙された相手が女性であること。銀行の通帳の残高がその証明となること。」である。

解決できるものならば解決してあげたいと思うが、詳細な話を聞かなければ対応できないし、銀行のお金の動きも調べなければならないだろう。

城南島海浜公園から宿までの移動時間は短いため、今日は詳細を聞き出すことは無理がある。後日、再度会って、その時に詳細を聞くことになるだろう。

次、いつ会えるかを聞き出そうと思っていると、

 

「ヨシ、 コンシュウノ、 エート、 ニチヨウビ!、
アノー、 イッタアトダカラ、 アノー、ムコウニネ、
エットー、ナンダッケ、 フネガ アルンダケド、
ソコニ イッテミヨウカ! ノレルヨ!」
(よし、今週の、えーと、日曜日!
あのー、行った後だから、あのー、向こうにね、
えっとー、なんだっけ、船があるんだけど、
そこに行ってみようか? 乗れるよ!)



と守叔父さんが言った。 こちらから、聞き出すことなく、会う予定が決まったことになる。

とはいえ、今日は、火曜であり、今週の日曜日は既に過ぎているが・・・。5日後の日曜日って事だろう。 「ありがとう! じゃ、日曜日に!」と返事した。 

船があると言っているので、久しぶりに船に乗れるかもしれない! 

以前、小型船舶のブローカーをしていた守叔父さんが、今も自由に使える船があり、その船に乗ることができるのかもしれないなと思った!

 





移動中の車内には、カーステレオのFMラジオが流れていた。その音量は、ここまでのところ、会話を邪魔しない程度の小さな音量であった。 

守叔父さんは、運転中にFMラジオの選曲ボタンを度々押していた。そのタイミングは、ラジオのパーソナリティのしゃべり声が聞こえてくるのとほぼ同じタイミングであり、好んで音楽の流れているチャンネルを聞いているようだった。

少し、会話が途切れていた時に、

 

「コレ、スゴインデスヨ!」
(これすごいんですよ!)



と言った後に、カーステレオのボリュームをどんどんアップさせていった。音量マックスまで上げたためFMラジオの音楽が車内で爆音となって響いた。

しかしながら、さすがのベンツのオーディオ! 音は大きいものの、ひずんだり、ビビり音などは一切なく、ライブホールなどの喧噪の中にいるようであった。

ボリュームを少し下げて、

 

「スゴイデショ!」
(すごいでしょ!)



と言った後に、笑い出した。

その後の宿に向かう車内では、ラジオから流れてくる大音量の音楽を聞き続けることになり、ほとんど会話のできない状態であった。

 





20分程度の移動時間で、宿の前に到着した。宿の前は、車寄せなどは無いため路駐車となる。狭い道であり駐車禁止であるため、私はすぐに下車した。

守叔父さんは、
 

「ジャ、ニチヨウビネ!
マタ、レンラクスル。」
(じゃ、日曜日ね!
また、連絡する。)


と言って、颯爽とクルマを走らせて、帰っていった。

守叔父さんの帰路を見送ると、自分の部屋へ戻った。 カギで玄関を開け、部屋の中に入ると、一挙にドッと疲れていることに気が付いた。

守叔父さんの状況を理解するためには、もう少し話しをする必要を感じたが、わずか数時間一緒にいただけで、これだけ疲れるとは思いもしなかった。

一応、無事に宿に戻れただけでも良かったのかもしれない。

豊治叔父さん、めぐみ叔母さんへの報告もしなければならないな・・・。

(つづく)