53 、上京二日目.27
私の伝えた「トラックだらけだ!」をきっかけに、守叔父さんは、本人がなんらかのトラブルに巻き込まれているような話をしているが、守叔父さんの説明では、イマイチ、内容がよくわからない。
分かった事として、「騙しとられたお金は二百万円超であること。騙された相手が女性であること。銀行の通帳の残高がその証明となること。」である。
解決できるものならば解決してあげたいと思うが、詳細な話を聞かなければ対応できないし、銀行のお金の動きも調べなければならないだろう。
城南島海浜公園から宿までの移動時間は短いため、今日は詳細を聞き出すことは無理がある。後日、再度会って、その時に詳細を聞くことになるだろう。
次、いつ会えるかを聞き出そうと思っていると、
「ヨシ、 コンシュウノ、 エート、 ニチヨウビ!、
アノー、 イッタアトダカラ、 アノー、ムコウニネ、
エットー、ナンダッケ、 フネガ アルンダケド、
ソコニ イッテミヨウカ! ノレルヨ!」
(よし、今週の、えーと、日曜日!
あのー、行った後だから、あのー、向こうにね、
えっとー、なんだっけ、船があるんだけど、
そこに行ってみようか? 乗れるよ!)
と守叔父さんが言った。 こちらから、聞き出すことなく、会う予定が決まったことになる。
とはいえ、今日は、火曜であり、今週の日曜日は既に過ぎているが・・・。5日後の日曜日って事だろう。 「ありがとう! じゃ、日曜日に!」と返事した。
船があると言っているので、久しぶりに船に乗れるかもしれない!
以前、小型船舶のブローカーをしていた守叔父さんが、今も自由に使える船があり、その船に乗ることができるのかもしれないなと思った!
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移動中の車内には、カーステレオのFMラジオが流れていた。その音量は、ここまでのところ、会話を邪魔しない程度の小さな音量であった。
守叔父さんは、運転中にFMラジオの選曲ボタンを度々押していた。そのタイミングは、ラジオのパーソナリティのしゃべり声が聞こえてくるのとほぼ同じタイミングであり、好んで音楽の流れているチャンネルを聞いているようだった。
少し、会話が途切れていた時に、
「コレ、スゴインデスヨ!」
(これすごいんですよ!)
と言った後に、カーステレオのボリュームをどんどんアップさせていった。音量マックスまで上げたためFMラジオの音楽が車内で爆音となって響いた。
しかしながら、さすがのベンツのオーディオ! 音は大きいものの、ひずんだり、ビビり音などは一切なく、ライブホールなどの喧噪の中にいるようであった。
ボリュームを少し下げて、
「スゴイデショ!」
(すごいでしょ!)
と言った後に、笑い出した。
その後の宿に向かう車内では、ラジオから流れてくる大音量の音楽を聞き続けることになり、ほとんど会話のできない状態であった。
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20分程度の移動時間で、宿の前に到着した。宿の前は、車寄せなどは無いため路駐車となる。狭い道であり駐車禁止であるため、私はすぐに下車した。
守叔父さんは、
「ジャ、ニチヨウビネ!
マタ、レンラクスル。」
(じゃ、日曜日ね!
また、連絡する。)
と言って、颯爽とクルマを走らせて、帰っていった。
守叔父さんの帰路を見送ると、自分の部屋へ戻った。 カギで玄関を開け、部屋の中に入ると、一挙にドッと疲れていることに気が付いた。
守叔父さんの状況を理解するためには、もう少し話しをする必要を感じたが、わずか数時間一緒にいただけで、これだけ疲れるとは思いもしなかった。
一応、無事に宿に戻れただけでも良かったのかもしれない。
豊治叔父さん、めぐみ叔母さんへの報告もしなければならないな・・・。
(つづく)
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