55 、上京二日目.29
LINEトークのテキストメッセージのやり取りによって、めぐみ叔母さんとの会話がしばらく続いた。
音声による会話と異なり、メッセージを打ち込むのに時間を要するため、送信側、受信側のそれぞれに時間が掛かり、ゆっくりしたターンでの会話が進んでいった。
メッセージのやり取りは、1時間ほど続いた。
そのゆっくりした時間のおかげで、守叔父さんの事をじっくりと振り返ることができ、頭の中を整理することができた。
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守叔父さんの現状をリストアップすると、次のようになる。
#1 見た目は、以前とあまり変わらず、特に痩せたり、太ったりしていない。
実年齢よりすごく若くみえる。
#2 仕事は、火曜〜金曜の4日間。
土日月は休み、月曜はカイロプラクティックに通っている。
#3 クルマを上手に運転する。クルマには目立った傷などはない。
#4 私と守叔父さんとの関係(叔父と甥の関係)や、私の家族構成(兄弟姉妹の数など)を正しく理解している。
#5 会話によるコミュニケーションが不自由だと思われる。理由としては、限られた人の名前以外は出てこない。 私の事を「柑太郎」と呼ばない。
#6 クルマの車種名(ベンツ)や、地名(鹿児島、羽田、東京)など、固有名詞が会話に出てこない。代わりに、「外車、あっち、こっち、ずっと向こう、ずっと遠く」などの言葉とともに手によるジェスチャーによって意思を伝える。
#7 守叔父さん本人は、会話によるコミュニケーションが不自由だと言う自覚がなく、そのことを心配してなさそうである。
#8 金銭的トラブルがあるかもしれない。
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めぐみ叔母さんから届いたメッセージには、
「出来るだけ何回も会うようにして下さいね。」
「そう、出来るだけ答えはあげないで色々聞いてみると良いかも。」
「アンチエイジング使い過ぎで脳が子供になってしまった。。。とか? 😨」
などがあった。
豊治叔父さんからの指示と同じように、私が守叔父さんと何度も会って、状況を把握するように依頼された。
「アンチエイジングで、子供になる!」とは、面白い発想だな・・・。と少し笑ってしまった。 プラセンタの注射で、若返り、脳も若返ったのかな・・・。
そして、送信したメッセージに関して、うまく伝わっているかどうかを確認するために、めぐみ叔母さんへ音声通話を掛けた。
めぐみ叔母さんは、呼び出し音を少し聞いただけで、すぐに電話に出てくれた。
私のテキストメッセージは、それなりにうまく伝わっているようではあったが、細かいニュアンスは端折っているので、それぞれの項目についての詳細を伝えることにした。
中でも、守叔父さんのクルマの運転の上手さや、クルマ本体には目立った傷などが無かったことなどを伝えると、めぐみ叔母さんにとっては、予想外であったようだった。
まともな会話のできない人が、クルマの運転ができる訳がない!と思ったのだろう。 私も、守叔父さんが颯爽とベンツで現れた時には自分の目を疑ったしな・・・。
自分の目で見なければ、信じがたい状況かもしれない。
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守叔父さんの様子に関しての話だけでなく、私の泊っている宿の所在地や周辺の様子、宿のシステムなどの話をしていると、いつの間にか音声通話が1時間ほど経過していた。
電話を切った時には、午後5時になっていた。
豊治叔父さんとのテキストメッセージのやり取りが1時間、めぐみ叔母さんとのメッセージのやりとりおよび音声通話は2時間、計3時間におよんでいた。
宿に戻った直後は、目の前にあるベッドへ飛び込み、休憩したいと思ったけれど、この3時間の間にだいぶ疲労感が薄らいでいた。
次に守叔父さんに会う予定の日曜日までは、時間・日数があるため、その間は守叔父さんの家の周辺を調べることになるだろう。盗聴電波の有無等も調べなければならないな・・・。
今日できることが無いかな・・・?と考えた。
もう一度、守叔父さんの家を訪問すれば、もう少し分かることがあるかもしれない。
もしも、部屋のカーテンが開いていれば部屋内の様子が、少しでも分かるかもしれないし・・・。 守叔父さん以外の人影がなければ、ピンポンしても良いしな・・・。
駐車場にクルマがとまっている場合、フロントガラスにサンシェードが設置されているかどうかも気になるところだ。
(つづく)
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