109 、上京五日目.6
守叔父さんは仕事には行かないので、今日も私をどこかに連れて行ってくれるようだ。
さて、何処に行くのだろう?
クルマで出掛けるようだ。
私が乗車すると、行き先も告げずに出発した。
少し走った後に信号待ちのタイミングで、守叔父さんはクルマのインパネ(スピードメーター、エンジン回転計)の辺りを指差しながら、
「ココデ、ヒャクマン、
ココデ、ニヒャクマン、
ニヒャクマン、ダメ!」
(ここで、100万、
ここで、200万、
200万、ダメ!)
と言った。
私は、インパネに顔を近づけて、守叔父さんが何を指差しているのかを確認すると、それは燃料計であった。
ガソリンタンクの残量によって、100万とか200万とか言っていることが分かったが、 200万がダメとは何だろう?
そして、
「サムイネ! ホラ、ナナジュウド!」
(寒いね! ほら、70度)
と言った。私が、
「70度って、何?」
と聞き直すと、再度、インパネを指差して、
「ココ!」
(ここ!)
と言った。
インパネには外気温の表示があり、「7.0℃」との表示があった。
「ナナド」と言うべきところを「ナナジュウド」と言ったのであった。
そんな不思議な会話をしているうちに、クルマが停車した。
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セルフ式のガソリンスタンドに着いていた。
守叔父さんは慣れた手つきで、ガソリンを給油しはじめた。
スタンドの計量器には、給油量(リットル)とともに、料金が表示されており、その数字がどんどん増えていった。
給油を終えて、守叔父さんは計量器の金額を指差しながら、
「ヒャクマンデショ!」
(100万でしょ!)
と言った。
実際にそこに表示された金額は、1万円を少し超えただけのものであった。
先ほど、信号待ちをしている際に燃料計を指差しながら「ヒャクマン」と言ったのは、その示している残量の時に給油すると燃料代が「1万円」掛かるとのことのようだ。
燃料タンクがほぼ空になってから給油すると「2万円」掛かるのだろう。そのことを同じように「ニヒャクマン」と言ったこととなる。
さすが、ベンツの燃料タンクは大きいな!と感心しつつも、「1万」を「100万」、「2万」を「200万」と言う守叔父さんには参ってしまった。
「気温7.0度」を「気温70度」と言い、「1万」を「100万」と言う。
それぞれの「桁」を間違った表現は、冗談を言っているのではなく、単に間違っている事は明白であった。
数字の桁を間違える人が、本当に仕事ができるのだろうか?
ますます、守叔父さんが何の仕事をしているのかが疑問となった。
(つづく)
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