31 、上京二日目.5
守叔父さんの発した言葉の意味は???
何らかの「ジョーク」か「遊び心」なのか、それとも「謎解きゲーム」なのか?
次の二つの言葉を分析しなければならない。
「ツイタヨ! イマ、ドコイルノ?」
(着いたよ! 今、どこいるの?)
「アルイテ、キタンデショ?」
(歩いて、来たんでしょ?)
既に、待ち合わせをしている人に対する言葉である。予定より20分早い電話である。
単に、間違い電話であり、別の人と待ち合わせしている可能性がある。
念のため、
「守叔父さん、柑太郎です。
電話掛け間違えてない?」
と問い返した。
「ダイジョウブ! マチガエテナイ。」
(大丈夫! 間違えてない。)
「イマ、ドコイルノ?」
(今、何処いるの?)
私宛の電話であることが確認できた。
「守叔父さんは、今、何処いるの?」
と聞いてみた。
「イツモ ムカエニ イクトコロ イルヨ!」
(いつも 迎えに 行く所 居るよ!)
との答えが返ってきた。
守叔父さんは、私が本日上京したと勘違いしたのかもしれない。
二時間前に羽田空港に到着し、連絡したと思ったのだろう。
そのため、今、羽田空港の送迎の車寄せに居るのだろうと推測した。
「もしかして、今、空港にいるの?」
と聞いてみると、
「ソウ、イツモノトコロ イルヨ。
クルマ タクサン ナラブ トコロ。」
(そう、いつもの所、居るよ。
車 たくさん 並ぶ 所。)
との事で、守叔父さんの勘違いによって、羽田空港へ迎えに行った事と理解した。
確かに、私は敢えて自分の居場所を守叔父さんへ伝えなかった。守叔父さんは、気を利かせて空港に向かってくれたのだ!
「アルイテ、キタンデショ?」
(歩いて、来たんでしょ?)
と言う言葉の意味は、まだハッキリしていないが・・・。
それにしても、本当に本日の仕事は終わったのだろうか? 私のために、簡単に時間を切り上げる事が出来たのだろうか?
二時間前、車は守叔父さんの自宅前にとまっていた。職場はどこで、通勤時間はどのくらい掛かるのだろう?
仕事を終えてから自宅に戻り、車に乗って空港へ向かう。
前もって上京予定を連絡していたのならば理解できるが、たったの二時間前に電話連絡しただけで迎えに来てくれるとは・・・?
本当に、仕事しているのだろうかと疑問に思った。
とりあえず、迎えに来てくれる事はハッキリしたので、
「東京には、昨日来ました。」
と伝えた。
「ジャア、ココニイナイノネ、ワカッタ。」
(じゃあ、ココに居ないのね、分かった。)
と答えが返ってきた。
「今、京急の駅、大鳥居に居ます。」
と再度伝えた。
「ワカラナイ、ドコ?」
(分からない、何処?)
何が分からないのだろう?と思いつつ、
「京急の駅だよ!
羽田空港から蒲田に向かって途中の駅だよ。」
と念を押してみたが、
「ケ・イ・キ・ュ・ウ? ワカラナイ」
(京急? 分からない)
との答え、
「じゃあ、何処の駅が良い?」
と聞き返してみるが、
「ドコ、エキ、ナニ、ワカラナイ」
(何処、駅、何、分からない。)
との答えに、「ジョーク」なのか? 何らかの言葉遊びが続いているのか?
守叔父さんの「変答(返答)」に困惑してしまった。
守叔父さんは、大田区、港区を中心に運送業を営んでいた、もしくは、現在も営んでいる可能性もある事を考えると、「駅」が分からないはずはない。
守叔父さんは、なぜ「駅」が、分からないと言うのだろうか? 不思議な会話のやりとりが続いた。
この後、私が京急に乗って羽田空港に向かい、送迎用の車寄せまで出向くと言う選択肢があるが、さて、どうしよう? と返答を考えているところに、
「ドコ、トマッテルノ?」
(何処、泊まってるの?)
との問いが戻ってきた。
守叔父さんに宿の場所を伝える事はリスキーだと考えていたが、守叔父さんが車に乗って自由に行動していることを勘案すると、拉致・監禁等の可能性は、より低くなったと考えられるので、宿を伝える事とした。
宿の名前だけでは心許ないので、郵便番号、住所を合わせてメールした。
そして、今来たばかりの道を折り返し戻る事とした。
守叔父さんは、迎えに来てくれるのだろうか、無事に会えるのであろうか?
(つづく)
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