66 、上京三日目.8
「女の子」、「メキシコ」、「ついている」という言葉は何を意味するのだろう・・・?
誰なのか?、どこなのか?、特に「ついている」とは何なのだろう・・・?
「女の子って誰の事?」
と聞き返してみたものの、守叔父さんは説明ができない様子で、
「ワカラナイ」
(分からない)
と返事をした。同じ質問を繰り返して聞いたけれど、再度「ワカラナイ」との返事だった。
運転中につき、これ以上困惑させるのは危険なような気がするので、追及することはやめた。 食事の際に、続きを聞くことはできるだろう。
少し気まずい空気が漂うつつ、次に守叔父さんが発した言葉は、
「イマノ、オトウサンハ、チョウジョ?」
(今のお父さんは、長女?)
であった。
一体、何を言い出すのだろう!!!!???
もしも、私と守叔父さんの会話を他の人が聞いていたら、どう思っただろうか。
私は、至って普通の家庭で育った。 普通の家族とは曖昧な言葉であるけれど・・・。
特別に複雑な家庭環境で育ったわけではない。 父母が同性カップルであるわけでもなく、LGBTQ的な問題もない。 そのため、父は男性であり、母は女性である。
また、私の父母は離婚歴や再婚歴などはない。そのため、当然のことながら、私に継父・継母などもいない。
守叔父さんは、私が誰であるのか分かってないのだろうか? と少し不安になった。
単純に言い間違えたのだろうということにして、
「父は、長男だよ!、姉が二人いるから三番目だけどね。」
と返事をした。 すると、
「スエッコハ、ダメダヨネ!
リリィチャンハ ヨカッタ!」
(末っ子は、ダメだよね!
リリィちゃんは良かった!)
と言い出した。 昨日も同じ事を言っていた。彼女と別れたことが悲しい事を伝えたいのだろうか? 父は、四人兄弟姉妹の第三子であるため、末っ子ではない。
それにしても、末っ子がダメって、守叔父さん本人は7人兄弟の末っ子である。 自分が末っ子なのに、末っ子はダメって言う。 すると、
「オレ、スエッコ、
ダカラ、ダメ!」
(俺、末っ子、
だから、ダメ!)
と続けて言った。 昨日も同様に、守叔父さん本人の続柄が末っ子だから、自分はダメなんだというようなセリフを言っていた。 自分のダメな事を責任転嫁しているようにしか聞こえないので、少し嫌な感じがした。
たしかに、続柄によって特徴があり、性格が違うかもしれない。 そして、性格が違う分、他人との相性の良し悪しがあるかもしれない。
それであっても、続柄が末っ子だからダメと言う理由にはならない。 などと考えていると、守叔父さんが、
「チョウナン ハ アワナイ!」
(長男は合わない!)
と言った。 私は長男なので、
「僕、長男だよ!」
と答えた。すると、守叔父さんは、
「アンタ、マンナカ! ウエ、イル。
マンナカ ハ イイ。アンタ、ヤサシイ!」
(あんた、真ん中! 上、いる。
真ん中は良い。あんた、優しい!)
と守叔父さんは答えてくれた。
私には姉と弟がいる。長男ではあるけれど第一子ではないし、末っ子でもない。
守叔父さんは、私に姉と弟がいることは分かっているようなので、私の事が誰であるかも理解しているのだろう。 昨日も、遠くから(鹿児島から)来ている事を理解していた。
守叔父さんは、第一子の長男とは相性が合わないということを言いたかったようだ。
(つづく)
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