2023年2月15日水曜日

「泣けない人」その52

 


52 、上京二日目.26


守叔父さんが、次の飛行機の離陸準備の状況を言わないな・・・。と思っていたら、予告無しに、

 

「イキマスカ!」
(行きますか!)



と言い出し、駐車場に向かって歩き始めた。 前もって、残りの滞在時間を教えて貰えれば、それに合わせた撮影ができたのだが・・・。 マイペースな守叔父さんである。

たしかに、「頭上を飛行機が通り過ぎると、すでに、次の飛行機が滑走路の端で離陸の準備をする。」といったローテーションが続いたので、いつ、その場を離れて帰路につくのか、タイミングの取りづらい状況であった。

 後ろ髪を曳かれる感じではあったけれど、「おすすめの撮影ポイント」で、それなりに、飛行機の撮影ができたので満足であった。 そして、守叔父さんの後を追った。 

 





海岸と駐車場の中間点位に、飲料水の自動販売機とアイスクリームの自動販売機が並んでいた。 守叔父さんは、その自動販売機の手前で止まり、振り返って、

 

「ナニカ タベル?」
(何か食べる?)



と聞いてきた。 ”食べる”と言うから、アイスクリームの自販機かな?とも思ったが、小銭を準備して投入しようとしているのは、飲み物の自販機の方であった。

イトーヨーカドー店内の自動販売機にて痩身お茶を買ってから、まだ1時間も経ってないのに、またもや、飲み物を”タベモノ”として勧めてきたのであった。

 「要らないよ!」と返事したものの、守叔父さんは、胸元からお財布をだし、自販機へ小銭を投入して購入するよう勧めてくれた。 トクホ(特定保健用食品)認定の飲み物があったら、ボタンを押そうと思い、商品を見わたした。 今回も痩身お茶を見つけたので、ボタンを押すことにした。

 宿に戻って、ゆっくり飲ませて貰おうと思い、ありがたく頂いた。

自販機横のお手洗いに立ち寄り、用を済ませた後、駐車場へ向かい、クルマに乗った。 

乗車後の守叔父さんは、

 

「ホテルニ イケバ ヨイ?」
(ホテルに行けば良い?)



と聞いてきたので、「お願いします!」と答えた。 まだ、午後一時、時間が早いので、守叔父さんとこの後も、もう少し話しができるかな?とも思ったけれど、素直に守叔父さんの言うことに従うことにした。 

 





一つの目的である飛行機の撮影を終え、あとは宿に戻るだけ。

そのため、車外の様子をじっくり見る余裕ができた。平和島や大井埠頭には大型のトラックがたくさん走り、道路脇にもたくさん停車していた。

さすが東京の物流の一つの心臓地域だな・・・。と思ったので、「すんげー、トラックいっぱい! トラックだらけだ! 東京の(物流の)心臓だね!」と守叔父さんへ伝えた。すると、守叔父さんは、

 

「デモネ、イマハ、ソンナニ クルマガ、
ハシッテ ナインデスヨ。
オレガ、 マエ、ヤッタトキハ
ニヒャクマントカ。」

(でもね、今は、そんなにクルマガ、
走ってないんですよ。
俺が、前、やったときは二百万とか。)



と言ったあとに笑い出した。笑いの後に続けて、

 

「ニヒャクマン!
ソレデ、ジャア、チャッチャカ ヤルッテ イッテ、
イチネングライデ、シガツデ、カードカエセッテ、カエサナイッテ。
ホンデ ギンコウイッタンデスヨ
ニヒャクハチジュウマン クライ アルカナ ト オモッタラ
ヨンジュウマンシカナイ、
エェーッテ、 ヒドイヨネ
アレハ ワイル オンナダ。
ソンデ、オレントコロニ、ゼンブ ショルイ オクルケド
デンワコナイ バカナオンナダ」

(二百万!
それで、じゃあ、ちゃっちゃかやるっていって、
一年位で、四月で、カード返せって、返さないって。
ほんで、銀行行ったんですよ。
二百八十万くらいあるかな?と思ったら、四十万しかない。
えぇーって、ひどいよね。
あれは、悪い女だ。
そんで、俺のところに、全部書類送るけど、
電話来ない、バカ女だ。」



と言った。 

私の言葉「すんげー、トラックいっぱい! トラックだらけだ! 東京の心臓だね!」をきっかけに、話が逸れていったのだが、本当に、二百万円以上のお金を女性に騙し取られてしまったのだろうか? 

(つづく)
 

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